昨年は予約していたAnalogue Pocketがようやく届いたことを皮切りに、ゲームボーイ元年ともいえる年になりました。 中古の本体や懐しいソフトの他にも、レトロクリエイターズへ行ってみたりitch.ioで同人ゲームをプレイしたりしている中で、増えてきたカードリッジを整理する必要が出てきました。
探してみるとEtsyやBOOTHには個人制作のカードリッジトレイが色々あります。しかし、見ていて思ったのです。どうせなら自分で作ってしまおうか、と。
こうして3Dプリンタでカードリッジトレイを制作してみたのですが、これがなかなか面白い。 もっと色々つくれる気がしてきて3Dプリンタ熱が高まってきました。
しかし作ってみてわかりましたが、まだまだ3Dプリンタで出力するコストは高いです。 安い素材もありますが、少し色気を出すとすぐ高額になります。また複雑で大きなモデルはなおさらです。
もう少し小さなもので、色々作って遊べるものはないか。 こうしてキーキャップを作ることになりました。
DMM.Makeのフルカラーマルチマテリアルプリントを利用する
デザインキーキャップを作るのであれば、単色ではなく着色されたものが作りたいところです。 自分用であればプラモデルの要領で塗装することも考えましたが、キーキャップとして利用するとなると塗膜には不安があります。
そこでDMM.Makeさんのフルカラーマルチマテリアルプリントを利用してみることにしました。 幸運なことに、2023年末から2024年始にかけて30%オフキャンペーンをしていたこともあり、お得にチャレンジすることができました。
2種類のカラーモデルの作り方
3Dプリントデータは大抵 STL
ファイル形式ですが、カラーモデルの場合は色情報が必要なため、その分のデータを何らかのフォーマットで提出する必要があります。
DMM.Makeでは2種類の方法で受付をしているようです。
- GrabCAD project
- objとtexデータ
GrabCADを利用すると、つやの有り無しやPANTONEによるカラー指定などが利用できますが、対象となるオブジェクトをSTL出力する時点で色指定したいパーツ毎に分割しておく必要があります。
自分は今回Blenderに馴染みがあったこともあって、テクスチャによる着色を行って obj
と tex
の出力をしました。
詳細はDMM.Makeの3Dカラーデータの作成方法で紹介されているので、そちらで確認できます。
DesignSpark Mechanicalは無料で必要十分な3D CAD
巷ではFusion360などの高機能CADが流行のようですが、その分お高い料金設定になっています。 無料でも利用できるようですが、利用するには以下の条件を満たさなくてはいけないようです。
- 学生または教育機関
- スタートアップまたは愛好家 (※ 非営利団体または事業の売り上げが10万ドル未満の場合)
一応愛好家で利用できそうですが、趣味でちょっとしたものを作って楽しむには機能も値段も高級すぎます。 FreeCADなどいくつか調べた結果、自分はDesignSpark Mechanicalを利用することにしました。
DesignSpark MechanicalはRSコンポーネンツが提供する3D CADツールで、商用利用でも完全無料です。 無料で必要十分なモデリング機能とSTL出力ができ、シンプルで使いやすいので学習コストも低くまさに必要十分です。
DesignSpark | デザインソフトウェア | テクノロジーコミュニティ
ポータブルゲーム機風キーキャップの制作
上記のサービスとツールを駆使して、年末年始の成果としてポータブルゲーム機風キーキャップを制作しました。
ざっくりとした開発の流れはこんな感じでした。
- まずDesignSpark Mechanicalでモデリングを実施し、
STL
で出力する - それをBlenderで取り込んでUVマップを作成し、それを基にテクスチャ画像をGIMPで加工する
- DMM.Makeの動画の通りBlenderでテクスチャを反映したら、
obj
形式で出力する - DMM.Makeにアップロードして発注する
まとめ
3Dプリントでキーキャップを制作するにあたって利用したサービスやツールなどについて簡単にまとめました。
キーキャップはサイズも小さく、制作費も小粒で、面白いモチーフを形にするのに最適だと思いました。 各ツールの細かい使い方などはまた別の機会に紹介できればと思います。
ちなみに世界最大と言われるShapewaysを利用するとマルチカラープリントも$10くらいでできたりしますし、マーケットプレイスも大きいです。 ただ送料が$30くらいするので、大量制作して送料を無料化しないとちょっと元がとれない印象です。
もう少しモチーフが増えてきたらShapewaysの利用も試してみたいところです。